レトロ音源の表現力を、現代のハードウェアへ。
AURAは、PSG、波形メモリ、PWM、PCM、オルガンなど、複数の音源方式をひとつのハードウェア上で扱うために開発している、プログラマブル・サウンドエンジンです。
往年のゲーム機やパソコン音源が持つ個性的なサウンドを再現するだけでなく、現代的な制御方式、豊富な同時発音数、ユーザー波形、リアルタイム音色編集を組み合わせ、新しい音作りができる音源環境を目指しています。
AURAとは
AURAは、単一の音源チップを再現するためのエミュレーターではありません。
PSG、波形メモリ音源、PWM音源、PCM音源など、それぞれ異なる発音方式を独立した音源エンジンとして構成し、楽曲や用途に合わせて組み合わせて使用できる設計です。
レトロ音源の特徴を維持しながら、従来のハードウェアでは難しかった多チャンネル化、音色拡張、ステレオ制御、エフェクト処理にも対応します。
主な特徴
複数の音源方式を統合
AURAは、以下の音源方式をひとつのシステム内で扱います。
- PSG音源
- 波形メモリ音源
- PWM音源
- PCM音源
- DPCM音源
- DDA音源
- オルガン音源
- ノイズジェネレーター
各音源は単なる波形プリセットではなく、それぞれ異なる発音アルゴリズムを持つ独立したエンジンとして動作します。
PSG Engine
矩形波を中心とした軽量な音源エンジンです。
AY-3-8910、YM2149、FME-7、MMC5、VRC6などのクラシック音源を意識した互換モードに加え、AURA独自の拡張PSGモードを搭載します。
主な機能:
- 矩形波、ノコギリ波、反転波形、ステップ波形
- デューティ比制御
- ノイズ生成とチャンネル別ルーティング
- 高速アルペジオ
- デチューン
- 位相制御
- ポルタメント
- パン
- LFO
- エンベロープ
- ソフトクリップ
- ドライブ
- フォルマント処理
シンプルな矩形波だけでなく、透明感のあるデジタルサウンドや、鋭いエッジを持つ音色にも対応します。
Wave32 Engine
ユーザー定義の波形テーブルを再生する波形メモリ音源です。
32サンプルを基本とし、用途に応じて16、64、128サンプルの波形にも対応する構成を計画しています。
主な用途:
- FDS系波形メモリ音源
- PPG系デジタル音源
- SCC、N163、WSG系音色
- ユーザー作成波形
- ゲームデータから抽出した波形
- モーフィング波形
- オルガン用倍音波形
ユーザー波形は保存、読み込み、編集、プレビュー再生が可能になる予定です。
PWM Engine
パルス幅をリアルタイムに変化させることで、静的な矩形波とは異なる動きのある音色を生成します。
通常のPWMに加え、SID系、WonderSwan系、P/ECE系の音色表現を想定しています。
主な機能:
- パルス幅制御
- パルス幅LFO
- スイープ
- ハードシンク
- デチューン
- ユニゾン
- ステレオパン
- 音量エンベロープ
PCM / DPCM / DDA Engine
サンプルデータを再生するPCM音源と、各種レトロ音源で使われてきた圧縮・直接出力方式を扱います。
対応を予定している方式:
- Native PCM
- NES系DPCM
- PSG-PCM
- SSG-PCM
- HuC6280系DDA
- リズム音源
- 効果音再生
波形音源だけでは表現しにくいドラム、パーカッション、音声、アタック成分などを追加できます。
Organ Engine
ハモンドオルガンに代表される倍音加算方式と、デジタルオルガン的な音色生成を組み合わせた専用音源です。
最大16和音を基本とし、既存のMSM5232系音源機能もサブセットとして統合する予定です。
主な機能:
- ドローバー方式の倍音合成
- 16フィートから高次倍音までのレベル調整
- キークリック
- パーカッション
- コーラス
- ビブラート
- リーケージ成分
- オーバードライブ
- ロータリースピーカー向け出力
- デジタルオルガン波形
- 金属的なアタック成分
- ピアノ的な打鍵音とのレイヤー
伝統的なオルガンサウンドだけでなく、金属的なアタックと透明感のある持続音を組み合わせた、新しい鍵盤音色の生成にも対応します。
多チャンネル・多音源設計
AURAでは、各音源エンジンを固定された単一チップとして扱うのではなく、複数の音源インスタンスとして管理します。
PSG、Wave32、PWMなどを楽曲ごとに組み合わせ、チャンネル数や処理負荷に応じて構成を変更できます。
計画中の構成例:
- PSG32:最大32チャンネル
- Wave32:最大32チャンネル
- Organ:最大16和音
- PCM:複数ボイス
- 拡張エフェクト:最大16系統
実際の同時発音数は、使用する音源方式、エフェクト、サンプリング条件によって調整されます。
リアルタイム音色制御
AURAは、音色パラメーターをリアルタイムに変更できる仮想レジスタ方式を採用しています。
ホストアプリケーションや外部マイコンから、音程、音量、波形、エンベロープ、パン、フィルター、LFOなどを制御できます。
主な制御対象:
- ノート
- ベロシティ
- ゲート
- 波形
- エンベロープ
- LFO
- デチューン
- 位相
- パン
- フィルター
- PWM
- ドライブ
- モーフィング
- ノイズ
- ユーザー波形
AURA RUN Host
AURA RUN Hostは、Windows上で動作するAURA専用の制御・再生アプリケーションです。
現在、以下の機能を開発しています。
- AURA本体との通信
- VGMデータ再生
- 音色編集
- ユーザー波形編集
- 波形の保存と読み込み
- 楽曲内のABリピート
- フレーズメモリ
- 音源チャンネル表示
- リアルタイムレジスタ表示
- 音色データ抽出
- Furnace FUR形式への対応検討
将来的には、AURA本体の制御部と表示・編集部を分離し、より扱いやすいアプリケーション構成へ移行する予定です。
ハードウェア
AURAの音源コアには、デュアルコアマイコンを使用します。
一方のコアを音源処理、もう一方のコアを通信やデータ管理に割り当てることで、音声生成と外部制御を分離します。
基本構成:
- デュアルコアMCU
- 独立した音源処理コア
- ホスト通信処理コア
- DMAオーディオ転送
- I2Sオーディオ出力
- 外部DAC
- USB通信
- MIDI入力
- 外部ホスト接続
- 外部メモリ拡張への対応検討
オーディオ出力にはI2S DACを使用し、ステレオ出力に対応します。
開発方針
AURAでは、特定の音源チップを完全に置き換えることだけを目的としていません。
オリジナル音源の特徴、制約、音楽的な使い方を分析し、それぞれの長所を現代のハードウェア上で再構築します。
開発において重視している点:
- 発音タイミングの安定性
- 音源ごとの役割の明確化
- ノイズや合成ミスの防止
- 高負荷時の音切れ防止
- ボイス割り当ての安定化
- リアルタイム操作への応答性
- 音源処理と通信処理の分離
- 将来拡張可能なレジスタ設計
- 後方互換性
- ホストアプリからの編集性
想定用途
AURAは、次のような用途を想定しています。
- チップチューン制作
- ゲーム音楽制作
- レトロ音源研究
- MIDI音源モジュール
- オリジナルシンセサイザー
- 組み込み機器用音源
- ゲーム機・パソコン音源の再現
- 音源データの解析
- 波形音色の収集と編集
- ハードウェア音源の試作
開発状況
AURAは現在開発中のプロジェクトです。
音源エンジン、通信仕様、ホストアプリ、音色管理、波形管理などを段階的に実装しています。
開発中のため、掲載している仕様、最大同時発音数、対応形式、画面構成、ハードウェア構成は変更される場合があります。
今後の実装予定
- PSG32の安定化
- Wave32の16/32/64/128サンプル対応
- PWM音源の独立エンジン化
- PCMボイス管理の再設計
- DPCM、SSG-PCM、PPS再生精度の改善
- 16和音オルガン音源
- MSM5232互換サブセット
- ユーザー波形ライブラリ
- 音色抽出機能
- Furnace FUR形式対応
- バイナリ通信プロトコル
- 外部ホストMCU接続
- ホストアプリUIの再設計
- 音源プリセット管理
- ファームウェア更新機能
- セキュアブート対応
プロジェクト情報
Project Name: AURA
Developer: LAVIOR
Category: Programmable Sound Engine
Status: Under Development
AURAは、過去の音源を保存するだけでなく、その構造を理解し、次の音源表現へ発展させるためのプロジェクトです。